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貸借対照表(B/S)を使った経営を始めてみましょう

事業を始めたばかりの時期でも、損益計算書を確認する機会は多いと思いますが、貸借対照表は「いまいちどの様に経営に活かせばいいかが分からない」と感じる経営者さんが多いと思います。

今回は貸借対照表を使って、資産状況のバランスが取れているかどうかを分析する際のポイントを解説します。

 

資産・負債を洗い出して整頓してみる

貸借対照表とは何かを一言でいうと「ある時点における企業の資産状況を示す書類」で、現金や不動産、売掛金、商品在庫などの「資産」と、借入金や買掛金などの「負債」がどれくらいあるのかをまとめた資料です。

 

経営を続けていくと、過剰な在庫や、過大な固定資産、増加した借入金などが企業の財務体質を悪化させてしまっていることがあります。

貸借対照表で、それらが適正なのかどうかを分析していくことができます。

 

長期間、回収できていない債権はないか

資金繰りが悪化する原因のひとつに売掛金の回収遅れがあります。

もし、滞留している売掛金があれば、回収できるかどうかを検討・対処してください。

 

①相手方に再請求書や督促状を送る。

債権には時効があるので、請求をすることで失効を防ぐことができます。

 

②支払督促の申立など法的手続きを検討する。

何度も催促しても相手方に対処してもらえない場合は法的な対処も検討しましょう。

 

③回収が困難で、債権を放棄する場合は、決算日までに「債権放棄の通知」を相手方に発送する。

会社更生法や民事再生法などによって切り捨てられた金額や、相手方の支払能力等から債権の回収ができないことが明らかであれば、税務上は貸倒損失として処理することができます。

 

売掛金の中には、すでに倒産破産した会社の債権が残っていることもあります。

この場合は、その事実が生じた事業年度に処理します。

貸倒損失の経理処理がなされていない場合は、申告期限から5年以内であれば更正の請求が可能です。

 

余分な在庫=不良在庫はないか

材料の在庫切れによる生産ラインへの影響や、製品の在庫切れによる販売機会の喪失などを理由に、比較的多くの在庫を持つ会社もあります。

ですが、在庫は現金のようにすぐには自由に使うことができない資産なので、必要以上に在庫を抱えるということは、キャッシュフローの悪化を招きます。

業務改善や在庫管理システムを見直すことで普段の在庫量を抑えることができればキャッシュフローの改善に繋がる場合があります。

また、売れる見込のない商品在庫は値引きを実施するなどして、現金化を目指しましょう。

 

使っていない固定資産はないか

例えば、廃棄済の機械や車両などが、帳簿上は存在したままになっていないでしょうか。

存在していない固定資産については、除却損を計上します。

社内や工場の隅におかれたまま使っていない、使うことができないなど、今後事業に使用しない機械装置や器具・備品などについては、決算日までに廃棄し、処分業者から「廃棄証明書」を取得し、保存しておきましょう。

 

未精算の仮払金はないか

仮払金は、一時的に使用する勘定科目です。未精算のものはすぐに精算して、適切な会計処理を行いましょう。

立替金は、取引先が負担すべき引落手数料や運送料、従業員の雇用保険料など会社が一時的に立て替える勘定科目です。

立替金は、確定した金額で計上し、金銭によって必ず回収しましょう。

 

役員からの借入金が多額ではないか

役員からの借入が多額になった場合、大きく2つのデメリットがあります。

ひとつは自己資本比率が悪化すること、もうひとつは、役員に万一のことがあった時に、借入金がそのまま相続財産として課税対象になります。

役員が会社に対して債権を放棄することで役員からの借入金を減らす方法もありますが、この場合、会社は、債務免除益を計上することになります。

いずれにしても、役員からの借入を放置していても会計上のいいことは無いので、計画的に処置を行いましょう。

 

長期間、滞留している債務はないか

長期間残っている買掛金や未払金について、督促もせず、支払う意思もないのであれば、消滅時効の2年間経過後に債務免除益として収益計上することになります。

 

日頃から適正に会計処理する体制が必要

これまで沢山の企業に携わってきましたが、利益が出ていない企業ほど資産管理があいまいでした。

請求漏れの売掛が多くあったり、販売できる可能性がない在庫が残っていたり、仮払いや立替金の処理が適切にできていない等々。。。

逆に、経営が堅調な企業ほど、遊休資産の整理がきちんと行われて、B/Sがスリムな傾向があります。

日頃から、適正な会計処理をする仕組みを作っていきましょう。

 

売掛金管理を徹底する

滞留している売掛金がある場合、得意先ごとに分析してみます。

もし、2ヶ月以上遅れているなら、得意先の事情か、自社の管理不足が考えられます。

滞留期間が長ければ長いほど、深刻な状況なのはお分かりだと思いますので、売掛金を発生日ごとに一覧して分析する「売掛金年齢調べ」を行い、債権の滞留状況を確認してみましょう。

 

在庫チェックのルールを決める

在庫は資産ではありますが、倉庫に置いてある状態では現金のように活用することができず、キャッシュフロー悪化の要因になります。

定期的な棚卸を行うルールを決めることで、過剰在庫、不良在庫、商品の陳腐化などの状態を把握することができます。

商品を手に取って、状態の確認を行いながら数量をチェックして、在庫の現状を確認するルールを明確に決めましょう。

 

精算ルールも明確にする

仮払金や立替金などは、精算期限を明確にするなどの社内ルールを整備しましょう。

基本的には月次の決算までには必ず精算して、仮払金などの残高が計上されないようにします。

 

当所では、貴社の経営に関する取り組みをサポートします。

当事務所は、経営革新等支援機関に認定されております。支援機関は経営改善計画の策定支援等を行っており、支援機関の業務を通じて、より一層中小企業の経営改善・事業再生に尽力してまいります。
また、「会計で会社を強くする」をモットーに、皆様に最新の情報と最適な業務を提供してまいります。

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