Columnお役立ち情報

法人・個人事業主のお客様

環境変化が著しい今だからこそブレない経営を!

バブル崩壊やリーマンショック、東日本大震災、そして新型コロナウイルス感染症の拡大など、これまで私たちは幾度となく大きな環境変化を経験してきました。

しかし、それらを力強く乗り越えた多くの企業が存在します。そうした企業に共通しているのは、経営理念や社是に基づき、自社の進むべき道を明確にし、プレない経営を実践していることです。

 

人も技術も資金も「経営理念」によりはじめて真に生かされてくる

 

新型コロナ感染症の拡大で経営環境は大きく変化しました。

これまでの経営が通用せず、どうすればよいのか迷っている経営者も少なくありません。

その中では、目先の売上に惑わされ、単に「流行っている」「儲かりそうだ」などの理由だけで、普段なら取り組まない事業に手を出してしまい、その結果、自社のノウハウや技術、強みや特長を生かしきれず、苦境に追い込まれてしまうこともあります。

 

長年、存続している老舗企業は、その歴史の中で不況や経営危機を何度も経験しながらもそれを乗り越え、成長してきました。

そこには「経営理念」や「経営哲学」がありました。

パナソニック(旧松下電器産業)の創業者・松下幸之助氏は、「事業経営においては、たとえば技術力も大事、販売力も大事、資金力も大事、また人も大事といったように大切なものは個々にはいろいろあるが、いちばん根本になるのは、正しい経営理念である。それが根底にあってこそ、人も技術も資金もはじめて真に生かされてくる」と、経営理念の重要性を説いています。

 

また、京セラの創業者稲盛和夫氏も「経営理念によって、みんなが心の底から共感し、共鳴することができ、経営者も目的追求のため、一切の躊躇なく、全力で経営に打ち込むことができる」と語っています。

 

その京セラグループの経営理念は「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」です。ここには、お客様や社会の求めに応じて常に挑戦し、新しい製品やサービスを提供することが、会社の成長・発展、社員のいきがいや、やりがいといった心の豊かさの実現、社会貢献につながるという想いがあります。

 

すべてのステークホルダーの”よかったSmile”を実現する

 

近江商人の「三方よし」の教えが生まれた滋賀県に本社工場を構えるアインズ株式会社(滋賀県蒲生郡竜王町)は創業144年の老舗企業です。

「すべてのステークホルダーの“よかったSmile”のために私たちは存在する」を経営理念に、印刷事業を中心としながら「顧客や社会のコミュニケーションをより高度なものにしていくこと」をミッションに事業を展開しています。

 

同社が創業した明治10年は日本の活版印刷の黎明期。新たな社会、経済システムの構築が急速に進められていくなか、印刷の技術革新も相まって同社を含めた印刷会社の需要は拡大の一途をたどりました。

しかし、近年においては、パソコンやプリンタを含めた情報技術の普及や進化、印刷価格の低下、競争激化などが進み、多くの印刷会社は厳しい経営を強いられています。

 

逆風下のなか、その活路として同社が着目したのが「地域」と「環境」です。

 

例えば、印刷用紙として「びわ湖環境ペーバー」という商品をつくりました。

これは、その金額の一部を琵琶湖の環境保全活動に寄附できるものです。「緑の募金」と組み合わせた「エコカレンダー」も開発しました。

 

こうした商品は、顧客の付加価値を高めることにもなり、環境への関心が高い地元の企業や消費者に支持されることとなります。そして、それが同社の差別化へとつながっていきました。まさに経営理念に基づき、ブレない経営を実践した成果といえるでしょう。

 

また、同社ではステークホルダーとして「社員」にも着目し、それをビジネスに生かしています。その取り組みの1つが「よかったスマイルカード」の導入です。社員がお互いの仕事を助け合う中で、サポートされた側の社員がサポートしてくれた社員に「ありがとう」と書いたカードを渡すという一見、シンプルなものです。しかし、それにより社員間の関係性が良好になり、社内で抱えてきたコミュニケーションの課題を解決することになりました。

これも、「顧客や社会のコミュニケーションをより高度なものにしていく」をミッションとする同社ならではの取り組みといえます。

 

利益はお客様の満足度を数値化したもの

 

中小企業においても経営理念を明確化し、それを追求することで安定経営を実現してきたところはたくさんあります。実験用の撹拌機・摩擦摩耗試験機を製造販売する新東科学株式会社(東京都千代田区)は、どんなに厳しい環境の中でも、毎年、利益を出し続ける経営を実現しています。

 

同社はリーマンショックの際、売上が半分に落ち込みました。そのとき野村社長は売上重視から利益重視への転換を図りました。この意思決定の根底にあったのが「ユーザーに満足をお届けする」という経営理念だったのです。同社では、お客様の満足度を数値化したものが利益であると捉えます。つまり、利益重視の経営は同社の経営理念を実現するものであるということです。

 

リーマンショック後もこうした経営を続けてきたことで、昨今の新型コロナという環境変化の中でも、安定的な経営を続けています。

先行きの見えない今だからこそ、一度、自社の経営理念を見つめ直し、それを軸としたブレない経営の実践が必要です。

また、経営理念を明確に掲げていない企業においては、「何のために創業したのか」「我が社の存在意義は何か」といった原点に立ち返った経営を行うことが重要になると考えられます。

 

【参考図書・資料】

政策シンクタンクPHP総研 『研究報告 企業は社会の公 器一これからの社会をつくる企業経営とはー」 (PHP研 究所2018年)

『経営者の四季」 (企業事例1: 新東科学 / 2021年3月号)

松下幸之助著 「実践経営哲学』 (PHP研究所 2001年)

 

当所では、貴社の経営に関する取り組みをサポートします。

当事務所は、経営革新等支援機関に認定されております。支援機関は経営改善計画の策定支援等を行っており、支援機関の業務を通じて、より一層中小企業の経営改善・事業再生に尽力してまいります。
また、「会計で会社を強くする」をモットーに、皆様に最新の情報と最適な業務を提供してまいります。

税務・会計に関わることは税理士法人きらめきへまずはお気軽にご相談ください。