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歴史からひも解くコロナ危機に負けない経営者マインドとは

2020年の倒産・廃業・解散件数は東京商工リサーチの推計で5万件でした。

この5万件という数字は多いように感じますが、わが国の企業数からすれば1%台にすぎません。

しかし、ある程度の規模の企業が破綻し、連鎖的な影響を及ぼすとなると話は違ってきます。

今回のコロナ禍による影響はリーマンショックを超え、世界大恐慌に匹敵するのではないかとの見方も出ています。

 

倒産していく企業が存在する反面、わが国は創業100年の老舗企業が3万を超える、まれにみる長寿企業大国です。

それらの企業は当然、恐慌も大戦も震災も乗り越えてきて今があるのです。

そこで、自社がコロナを乗り越え、盤石な経営基盤を確立するためのヒントを、歴史上の教訓からひも解いてみることにしましょう。

 

企業の「意義」を書きとめる

「歴史は繰り返す」と言われるように、歴史を学ぶことで、法則性を見いだし、今後の方向性を見極めることができます。

しかし、大切なことは、「歴史は形を変えて繰り返す」ということです。

 

倒産は資金が不足した場合に起こる、と言われますが、実はその真因は目的意識が希薄になることから生じます。

元禄時代までの成長期に多数の商人たちが興隆しましたが、その後の大デフレ政策と言われた享保の改革で、大多数が没落していきました。

これはすさまじいもので、10軒のうち、7、8軒は潰れたと言われています。

2020年の1%台の数字とは桁違いの倒産ラッシュが起きたのです。

生き残った商人たちは自己の責任で決断し、己を律し、行動し、財を蓄えて有事に備えなければ、瞬時に企業が倒産するという新しい時代の自立の厳しさを痛感したのです。

そして、経営のあるべき姿を書きとめ、書きとめたことを次の世代が受け継いで実行できるようにしたのでした。

これは、企業目的の再確認であり、経営理念の確立です。

心が折れずに経営を続けるためには崇高な理想が必要であり、これが困難に当たっても経営者自身の心を奮い立たせるのです。

 

資金は「平時」に備える

コロナ禍対策で、様々な緊急資金繰り支援策が導入・活用されていますが、本来は平時にある程度の財務的基盤の確立をしておくことが必要なのです。

倒産の直接的原因は資金繰り破綻ですので、それが起きないよう、平時から純資産と現金預金を十分に蓄えておくことが必要です。

歴史的にみれば、10年に1回程度は不況が起きていて、数十年に一度は大規模な自然災害も発生しています。

それらの有事の備えは平時にしかできないことです。

 

儒教の根本経典である四書五経の一つの「礼記」王制第五編に次のように記されています。

「国に9年の蓄え無きを不足と言い、6年の蓄え無きを急と言う。3年の蓄え無きを、国、その国に非ずという」

 

当時の中国では、大規模な自然災害が発生すると、毎日の食べ物の確保が困難になり、民が明日への希望も持てず苦しむことになります。

その時、国家はその蔵の扉を開いて、民に食糧を与え安心させることが重要だと説いているのです。

この言葉は建国30年の国家を想定し、9年分の蓄えしかなければ不足であり、6年分の蓄えしかなければ、今までのやり方が間違っていたのだから、急いでそれまでのやり方を改革しなければならない。

3年分以下の蓄えしかなければ、それは国ではない、と言っているのです。

このように資金は有事に備えるため蓄積するものなのです。

 

備前岡山藩の池田光政の命により、承応3年(1654年)の早大洪水という自然災害に対処した、陽明学者熊沢蕃山の施策の一つに次のようなものがあります。

 

「まず藩を開放して1粒の米も残さず放出しただけでなく、なお不足する分は他国米を買入れ、また大坂蔵屋敷の蔵米を取りもどし、これらを合わせて飢えにあえぐ人々の救恤に当てるよう役人を督励している」

これは、まさにこの礼記の精神を体現した施策に他なりません。

 

時代は変わる、大きく変わる

アフターコロナの時代は、今まで常識とされていた面談・移動・捺印等々が本当に必要かと問われています。

システムでできることはどんどんシステムに任せて、人間にしかできないことを仕事としてやっていこう、という方向に変わっているのです。

もうこの流れは後戻りできないでしょう。

これが、「歴史は形を変えて繰り返す」ということなのです。

これは、1995年から始まっている生産年齢人口の減少と相まって、生産性向上にはIT等の活用により、生活スタイルや就業スタイルを変えていかなければならないことを多くの人々が実感しはじめています。

 

このような進化の時代には、今までの商品やサービスの多くが無効・無用になる反面、その時代に必要とされる新たな商品・サービスが誕生し成長していきます。

老舗は不断の革新から生まれると言われているように、素直に心を澄ませば社会が何を求めているかを理解することができるでしょう。

社会がなければ会社は存在できません。

ならば、会社とは社会に有用な価値を提供し続けることでのみ存在を許されている、と謙虚に受け止めるべきです。

このようなときこそ経営者は社会との対話の中から自社の存在意義を今一度再構築し、一層の社会へのお役立ちにまい進したいものです。

 

当所では、貴社の経営に関する取り組みをサポートします。

当事務所は、経営革新等支援機関に認定されております。支援機関は経営改善計画の策定支援等を行っており、支援機関の業務を通じて、より一層中小企業の経営改善・事業再生に尽力してまいります。
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